トップページ > ニュース > 学会賞 > bestpr-2019 > 最優秀発表賞選考経過の講評
選考委員会委員長 はしもとじょーじ
今年度は7名の応募があり,資格審査および予稿に基づいておこなった予備審査の結果,7名全員を本審査対象としました.キャンセルの1名を除いた6名が発表をおこない,それを8名の審査員が審査しました.そして,発表日同日に開催した選考委員会および運営委員会において審議した結果,2019年度最優秀発表賞受賞者は荒川創太会員(東京工業大学,講演題目「太陽系外縁天体の衛星形成と潮汐進化」)とすることに決定しました.
荒川会員は,太陽系外縁天体の最新の観測結果を踏まえた上で,自身の数値モデルで衝突条件を変えた巨大衝突の数値実験をおこない,観測された太陽系外縁天体の衛星サイズおよび離心率の多様性は,巨大衝突による衛星形成とその後の軌道進化によって説明できることを示しました.数値計算結果を解釈する物理的な説明は明解であり,説得力がありました.また,質疑応答も的確であったこと,観測による検証の方法も考えられていること,なども高く評価されました.選考委員会は,発表とその内容を高く評価するとともに,今後の研究の展開を期待させる点も合わせて,荒川会員は本賞にふさわしいと判断しました.
今年度も応募者の発表レベルはいずれにおいても非常に高く,選考委員会の議論は紛糾しました.残念ながら受賞に至らなかった方々についても,発表準備と当日の発表および質疑応答を通して,多いに得るものがあったと思います.その経験を今後の研究につなげていただけたらと思います.そして,来年度以降も資格がある方については,是非,発表賞に再挑戦していただきたいと思います.
来年度以降も,多くの学生会員からの応募を歓迎します.